Three solo exhibitions at Nanzuka

使い古しの段ボールや紙パックなどを用いて仏像を製作する本堀雄二の「薬師堂」、日常的に口にする食品の材料となる香辛料、粉、ドライフルーツなどの自然素材を用いた安部貢太朗の「総天然色」、そして、自身が営むバーのインテリア装飾品として紙粘土で作ったマスク5点を発表する小林雄二の「NEW MATANGO」、異なる3人の個展を NANZUKA で同時開催。

会期:2017年9月月9日〜10月7日
会場:NANZUKA
時間:11:00〜19:00

安部貢太朗「総天然色」
1988年大分県生まれ、2015年武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻修了、現在は東京都在住の若手アーティストです。安部は、私たちが日常的に口にする食品の材料となる香辛料、粉、ドライフルーツなどの自然素材を用いて作品を作ります。安部は予備校時代の10代後半から継続的に同じ手法の作品を作り続けておりますが、そのルーツは、魚の養殖業を営む自身の生家が、魚色の見栄えを良くするために自然着色料を用いた餌を与える光景を目にしてきたことにあります。学内の展覧会以外では、これまでまったく展覧会を行っていない安部ですが、その理由は本展にたどり着くまでに様々な苦労があったためです。時にはカビや腐敗で作品をダメにし、時にはネズミなどに作品を食べられてしまうなど、多くの失敗を経て今回の作品を完成させました。美術品としての耐久性を持たせるための素材の配合、乾燥や定着の方法を生み出すまで実験を繰り返すその製作態度は、さながら化学者のように奇妙で独特です。

本堀雄二「薬師堂」
1958年兵庫県神戸市に生まれ、愛知芸術大学の彫刻科を卒業した後、現在は兵庫県神戸市在住のアーティストです。本堀は、使い古しの段ボールや紙パックなどを用いて仏像を製作します。その作品は正面から見ると透過しているようであり、横から見ると段ボールの断片が立体的に浮かび上がります。本堀は木や紙、新聞、牛乳パックなど、私たちが日常生活の中で消費した物が再生されることに重要な意味を見出しています。それは環境問題やリサイクルといった言葉で語られるものではなく、仏教の輪廻転生などの概念に近いものだと、本堀は語っています。本堀は、阪神大震災を経験して以降、新しい材料を使うことに抵抗を感じる様になり、身近に手に入り加工も簡単な段ボールという素材に辿り着きました。用途を終えた段ボールから人々が崇める神仏を作りだすというギャップに、本堀の作品の強さと尊厳があります。
本展示は、薬師堂を模したインスタレーション作品、および大型の不動明王像を発表する予定です。

小林雄二「NEW MATANGO」
1973年愛知県生まれ、現在東京都在住。
小林は、高校を卒業後、舞台美術やイラストレーターなどを経て、現在新宿区初台で自らのバー「NEW MATANGO」を営むバーテンダーです。小林は、その類い稀な造形力を生かし、バーのインテリア装飾品として、紙粘土で作ったマスクを製作してきました。店に飾られているマスクのファンは多く、昨年NANZUKAにて、熊本震災のためのチャリティーとして開催した佃弘樹キュレーションによる企画展「Morning Star #01」に参加し、展示した3点すべての作品が売約となりました。小林の作品は、揺るぎ無く己の好きな世界観を貫き続けた創作活動の強さを物語ります。本展では、新作のマスク5点程度を発表する予定です。